【シン・ゴジラ】ホームセンターニッポン

ホームセンター。それは男たちの心の秘密基地。俺たちはいつだってここへ来ては胸を躍らせて、不要なものを買いすぎてきた。うず高く積み上げられた工具の類はさながら武器庫を想起させ、俺たちの脳裏に悪漢やゾンビに対する必勝のイメージを与えてくれる。

もし、この場にある物を際限なく使えたなら──その様な発想で作られた作品は挙げればキリが無いが、そんなホームセンターの解釈を日本全土にまで拡大した作品はそうそう無いのではなかろうか。「シン・ゴジラ」はそんな貴重な「ホームセンター日本」もののマスターピースとも呼べる作品だ。現代日本に突如として現れた謎の巨大生物ゴジラに対して日本にあるもの全てを使って対抗する、文字通りの総力戦。特に我々の生活にすっかり根差しているあれやこれやが武器として活躍する様は、工具を武器にして戦うホームセンターものとしての最も基本的かつ肝心なポイントを押さえている。

郊外のホームセンターでゾンビと戦う妄想だけでも楽しいのに、単純にそれをスケールアップさせた本作が見ていて面白くないわけがない。絶賛公開中の本作、作中のテクノロジーを最も身近に感じられる「今」見るべき作品だろう。

[書いた人:石健(セキ タケシ)]

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